ふるさと今治を訪ねる
Vol.1 今治タオル
そう誇らしげに語るのは、当サイトのナビゲーター…、いえ、“にゃびゲーター”です。今日はふるさと納税の返礼品としても大人気、今治タオルの秘密を探りに、にゃびゲーターと出かけてきました。
「じばさんセンター」へ行ってみよう
やってきたのは「今治地域地場産業振興センター」。今治の地場産業を盛り上げるための施設です。今治タオルといえば、今治が世界に誇る地場産業だけあって、ここには今治タオルを販売する「いまばりタオルブティック」があるのです。
入り口からすぐに目に入る、色とりどりのタオル! 地元タオルメーカー各社自慢の品がズラリと並びます。定番のフェイスタオルやバスタオルだけでも種類が豊富。まるで綿そのもののように軽いふわふわタオルもあれば、さらりとした感触のガーゼタオル、はたまた高級ホテルのタオルのような厚手のしっかりしたタオルまで手触りもいろいろ。さらにはこだわりのオーガニックコットンのタオル、タオルマフラーや帽子などのオシャレな小物も。見ているだけでワクワクします。
「今治タオル」のはじまり
ところで、いつから今治はタオルの産地に? 今治タオルが全国的に知られるようになったのは、つい最近のような……。
ニャンでも知ってるにゃびゲーターによると、温暖な今治はもともと綿栽培が盛んな土地柄。江戸時代には白木綿という綿織物が生産され、「伊予木綿」と呼ばれて大阪や京都でも評判でした。ところが、明治の文明開化とともに白木綿の需要が激減し、苦しい時代を迎えます。
それを変えたのが、矢野七三郎でした。明治19(1886)年、苦心の末に開発した伊予ネル(綿ネル)が広まり、今治の織物産業の基盤が作られます。その後、綿ネル業を営んでいた阿部平助が、大阪で出会ったタオルに着目。明治27(1894)年、綿ネル織機を改造し、今治で初めてタオルの製造が始まります。
「今治タオル再生プロジェクト」で奇跡の復活
こうして順調に発展を続けたかに見えた今治タオルでしたが、1990年代に入ると暗雲が立ち込めます。安い外国産タオルに押され、国産タオルの需要が急速に落ち込んだのです。このままでは歴史ある今治のタオル産業が消滅してしまう。そんな危機感から立ち上がったのが、「今治タオル再生プロジェクト」でした。
2006年にスタートしたこのプロジェクトは、著名なクリエイティブディレクター・佐藤可士和氏をブランディング・プロデューサーに迎え、今治タオル本来の品質の高さに明確な基準を設けて国内外に広くPR。同時にブランドロゴもデザインし、地域ブランドとしての「今治タオル」を強く印象づけ、今治タオル再生の大きなきっかけになりました。
今治タオル 品質と信頼の証
今治タオルといえば、やっぱり吸水性の高さ。押さえるだけで水を吸う感覚はタオルの概念を変えてしまうほど。そんな大袈裟な、と思うでしょう? それが大袈裟ではないのを証明してくれるのが、地域ブランド「今治タオル」のブランドロゴマークです。
これは今治タオル工業組合が独自に定める12の品質基準に合格したものだけが付けられるもの。つまり、今治タオルの信頼の証です。例えば1cm角のタオル片を水に浮かべて5秒以内に沈みはじめるか、吸水性を検証する「5秒ルール」は有名な話。ちなみに、一般的なタオルの基準は60秒というからその差は歴然です。
もうひとつの特徴が、今治タオルならではのやわらかさ。タオル作りには多くの水を必要としますが、実は水が豊富な今治。市の中央部を流れる蒼社川は、西日本最高峰・石鎚山に隣接する高縄山系の東三方ヶ森(ひがしさんぽうがもり)を源流とする川で、豊富な伏流水が市内を流れます。金属イオンが少ない軟水であることがポイントで、綿本来のやわらかさを引き出し、ふんわりしたタオルの風合いを高めます。
また、今治ならではの「先晒し先染め」という技法。一般的なタオルとは逆で、タオルを織る前の糸の状態で「晒し(さらし・精錬漂白)」と「染め(染色)」を行います。これも優しい肌触りになるポイントだそう。
上手なタオル選びのポイントは?
ここまで知ったら使ってみたい今治タオル。でも種類がたくさんあって、どれを選んだらいいのやら……。
さすがにゃびゲーター、タオルの選び方にも詳しいみたい。ふんわりやわらかいタオルが好みなら、糸の撚(よ)りの甘い“甘撚り(あまより)”タオルがオススメ。温かく保湿性、吸水性に優れます。糸をほとんど撚らない“無撚糸(むねんし)”なら、さらに軽くてふんわり。たっぷりの水で洗濯するとボリュームアップしてふわふわが長持ちします。
反対に、撚りの強いタオルはコシがあり、さらっと涼やかな肌触りが特徴。丈夫で長持ちの優れモノです。速乾性も重視するなら、ガーゼタオルもいいでしょう。片面ガーゼ、片面パイルのタオルは、ふんわり感もありながら吸水性も十分。ガーゼのさらりとした感触が気持ちいいタオルです。
大切な人に 自分へのご褒美に タオルを贈ろう
お風呂上がりに活躍するバスローブやラップドレス、赤ちゃんの出産祝いにやわらかくかわいらしいタオルなど、今治タオルは贈り物にもピッタリ。実は今治が発祥のタオルケットも、年齢を問わず贈り物に喜ばれるアイテムです。
なるほど、そんな使い方も! 自分へのご褒美に欲しくなっちゃいますね!
最近では扱いやすく場所をとらない小さめのバスタオルが好まれますが、大きなバスタオルはブランケット代わりにするという使い方も。繊維の中にたくさん空気を含む無撚糸のタオルなら、保温性もあって温かいので、ひざ掛けやアウトドアのレジャーに重宝します。タオルは種類も使い方もいろいろですね。
ライフスタイルに合わせて、タオルのデザインや使い心地は洗練され、どんどん進化しています。その1枚のタオルには、長い歴史に裏打ちされた確かな技術が紡がれていたのでした。どうやらにゃびゲーターも、お気に入りの1枚が見つかったようですね。