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東京都→今治市(大三島) | Iターン | 島暮らし | 起業・店主
松岡大介さん
ハンバーガーショップ「NICE TOUCH BURGER」店主 / 2024年4月移住 / 東京都出身
東京都出身。小学校教員として勤務する傍ら、通い詰めたカフェのあり方に影響を受け、自身のお店を持つことを志す。祖父母の家があり幼少期から縁のあった大三島への移住を決意し、2024年4月に移住。現在は大三島でハンバーガーショップを営み、1周年を迎えた。現在はパートナーと共に、お店を拠点とした島での新たなカルチャー発信やコミュニティづくりを楽しんでいる。
かつては東京で子どもたちと向き合う多忙な日々を送っていた松岡さん。移住から2年が経ち、現在は大三島で自身のお店を構え、島内外の人々を迎えています。「自分が心地いいと思える場所を、今度は自分がこの島で作っていきたい」。等身大の言葉で大三島への想いと、現在の暮らしぶりを語っていただきました。
僕の移住の原点は、教員時代に通っていた近所のカフェにあります。それまでコーヒーには全然興味がなかったのですが、その店のオーストラリア人オーナーの「人との関わりを大切にする姿勢」や、お店全体の心地よい雰囲気に惹かれ、家でも職場でもない「サードプレイス」の素晴らしさを知りました。「自分の好きなことで人を喜ばせ、自分も楽しむ」という生き方に触れ、次第に「自分もこんな場所を作りたい」と思うようになったんです。
ちょうどその頃、教員としても中堅の立場になり、組織の中での役割や将来の働き方に不安を感じ始めていました。「家族を持ったとき、自分の子どもより学校の子どもと過ごす時間が長い生活でいいのだろうか」という疑問もあり、自分の理想とするライフスタイル、社会人としての立ち位置、そしてやりたいことがカチッと重なったのが30代に差し掛かったタイミングでした。
大三島は祖父母の家があり、毎年帰省していたので昔から馴染みのある場所でした。本当に自分がやりたいことなのかを確かめるため、辞めると決めてからさらに1年間東京で働き、気持ちがブレないことを確認した上で、2024年の春に覚悟を決めて1人で大三島へ飛び込みました。

移住してからは、開業に向けた準備を進めつつ、2025年6月にお店をオープン。先日無事に1周年を迎えることができました。お店のロゴやイラストは、知り合いのイラストレーターさんに描いてもらったお気に入りです。
ハンバーガーの要となるバンズは、島内の「パン屋まるまど」さんにお願いして特注のものを焼いてもらっています。風味と食感にこだわり、肉の旨味を最大限に引き立てる相性抜群のパンを目指しました。主役のパティには国産牛100%の赤身肉を贅沢に使い、ガツンと食べ応えのある仕上がりを追求しています。
ありがたいことに、今ではしまなみ海道を走るサイクリストの方や、海外からの観光客の皆さんにもたくさん立ち寄っていただいています。

今後は、単にお食事を提供するだけでなく、このお店を起点に大三島に「音楽」や「アート」といったカジュアルなカルチャーの要素をもっと増やしていきたいですね。島内には素晴らしい美術館もありますが、もっと日常的で若い子たちが「島に残って何かするのって楽しそう」と思えるような、ローカルでコアなイベントや空間を少しずつ仕掛けていきたいです。

移住当時、東京に拠点があったパートナーも、僕がお店を始める直前のタイミングで会社を辞めてこちらへ移住し、今は一緒にお店を切り盛りしてくれています。彼女は福島出身で大三島には一度も来たことがなかったのですが、初めてしまなみ海道を渡ったときに海の景色の美しさにとても感動してくれました。今は同じ方向を向いてお店を支えてくれる、本当に心強い存在です。

現在の住まいはアパートなので、いわゆる「島暮らし感」はまだ薄いのですが、将来的には大三島に海が見えて縁側のある家を建てたいね、と2人で話しています。島での家探しはネットに情報が出ないことも多いので、お店のお客さんや地域の人に「家を探しているんです」と言い続けながら、良いご縁を待っているところです。
東京にいた頃は、常に何かに追われているようで、「何もしない時間」に対する焦燥感のようなものがありました。でも大三島に来てからは、時間の流れが本当にゆっくりに感じられます。周りの人も急いでいないし、目に入る情報量が心地よく制限されているからだと思います。

それでいて、しまなみ海道で本州や四国と陸続きなので、閉ざされた感覚がありません。コンビニも近くにありますし、都会的な便利さをほどよく残した「ゆるめの田舎暮らし」ができるのが、僕にはちょうどいい塩梅(あんばい)です。
日常の中でのお気に入りの過ごし方は、お店が閉まった後、大三島島内の盛(さかり)地区の海岸線や、多々羅大橋を望むファミリーマートの裏にある堤防の先まで行って、ただ座ってぼーっと夕日を眺めることです。何も持たず、何も考えずに海を眺める。そんな時間が作れること自体が、今の暮らしの何よりの贅沢だと実感しています。

よそ者として始まった大三島での暮らしですが、今はお祭りに誘っていただいたり、移住者同士の自主的な交流会で飲食業以外の人たちとも繋がれたりと、温かく受け入れてもらっている実感が日々増しています。
これから先、まずはこの島でパートナーとお店をしっかりと営みながら、自分たちの理想の家を建てていきたいです。そして、私たちが大好きなカルチャーを通じて、島の内外の人が集まれる心地いいサードプレイスを大三島に根付かせていきたい。力まず、等身大のままで、この街の一部になっていけたらと思っています。

取材日:2026年6月(掲載の情報は取材日時点のものです)
A 東京と比べると時間の流れがとにかく穏やかです。それでいて陸続きなので都心へのアクセスも良く、ほどよく便利で暮らしやすい「良い塩梅の田舎」ですね。日常の中に、ただ海を眺めてリセットできる贅沢な時間があります。
A 島内(大三島)の医療機関の選択肢が少ないことや、大型ドラッグストアがない点は、実際に暮らしてみるとリアルな課題ですね。あとは、島をまたぐ際の「しまなみ海道の通行料」はそれなりに負担になるので、島民向けの割引制度などがもっと充実するとありがたいなと感じます。
何かやりたいことが明確であれば、島でも十分に食いつないでいける環境やチャンスはあります。住まいや仕事にこだわりすぎず、まずはフットワークを軽くして、アパートなどを拠点に地域に入り込んでみるのがおすすめです。色んな人に「こうしたい」と発信し続けていれば、きっとこの島ならではの温かいご縁が舞い込んできますよ。
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